“産地から新しい風を起こす”
産地では各企業がどんな織物でもこなせる体制を整え、
市場ニーズを反映させた商品開発を推し進めています。
<知多織物産地(知多綿スフ織物構造改善工業組合)>
地域:愛知県半田市、常滑市、知多市、東海市、大府市、知多郡
沿 革
慶長年間(1600年頃)、知多から木綿を江戸に陸送した記録があり、この頃が知多木綿の発祥時期と考えられる。明治10年に入り、チャンカラ織機と臥雲式水車紡績法(ガラ紡)という2つの生産手段の改革が知多産地の発展に寄与した。その後、明治30年、豊田左吉が半田市で動力織機を発明、当地の織布業は近代産業へと発展していった。
第2次大戦後、合成繊維の開発により当地の織布業は急速な発展を遂げた。最近は輸入品の増勢から多くの企業が廃業するなか、今まで組合が中心となって進めてきた事業にも限界があるとして、平成13年度より企業グループを結成、また一方では若手メンバーが組合事業に積極的に参加できる構図ができ上がり、若手ではあるが産地のイメージにも変革の兆しが見え始めている。
最新の状況としては、20~30代の若手メンバーを中心に知多クリエーション実行委員会を組織、また産地のオリジナル商品開発を含めた総合的な見地から専門の技術アドバイザーを招聘、若手の育成、企業ならびに産地の活性化に向けて本格的に動き始めた。
産地の最新状況
現在35社の織物業者と3社のサイジング業者が稼働状況にある。賃織加工形態が中心ではあるが、国が進める自立化事業(採択された機業は1件もないが)の影響もあって、企業独自で新商品開発に取り組み、製品化して問屋・小売業へ販売を試みている。組合としても前向きな機業とも連携し、機会あるごとに販売をサポートするとともに組合主導での小売店との連携も模索中である。また、地元商工会議所女性会ともコラボを進め、活性化に向けて産地あげて努力しているところである。
今後の見通し(5年後)
現経営者の高齢化と後継者不足、そして何より従業員の高齢化が甚だしい。今も組合員の中で5社が外国人研修生を受け入れて何とか現場を回しているのが現実である。(若年労働者の確保が非常に難しい業界となっている)
こうした現状を踏まえると先行き大変厳しく、かなりの企業が廃業に向かい、産地としての機能が果たせるか疑問符が付くところである。
特 色
製品面 |
広幅織物、小幅織物ともドビー織物が産地をリードしているが、まだまだ平織物の生産が中心の白生地素材産地である。 |
技術面 |
品質面には自信があり、技術的に高水準にあると自負する。 |
設備面 |
エアジェット織機中心に展開しているが、有杼織機もかなり保有されていることから、一層の革新化が待たれる。 |
販売面 |
商社(名古屋・大阪)、産元(蒲郡・浜松)からの賃織加工が主体であり、自社販売率は非常に低いため、今後は販売面について検討を要する。 |
活性化取り組み事例(最近3年間)
取り組み事例 |
産地内企業のコラボレーション |
川下(卸・小売)分野への進出の試み |
情報化の推進 |
研修事業の実施 |
産学官のコラボレーション |
下請脱却(自立化)の努力 |
技術アドバイザーによる新商品開発等直接指導及び相談会の実施 |
産地データ
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2007年度 |
2008年度 |
2009年度 |
2010年度 |
2011年度 |
2012年度 |
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企業数 |
35社 |
32社 |
31 社 |
31 社 |
27社 |
27社 |
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生産(出荷) 実績 |
57,880 千㎡ |
52,574 千㎡ |
48,983 千㎡ |
31,608 千㎡ |
28,486 千㎡ |
28,620 千㎡ |
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現有設備 |
主要設備名 |
数量 |
革新機の割合 |
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エアジェット織機 |
189台 |
16.4% |
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レピア織機その他 |
55台 |
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有杼織機 |
188台 |
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小幅織機 |
1,058台 |
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2012年度 品目別 生産実績 |
主要生産(出荷)品目 |
生産数量 |
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綿織物 |
16,251 千㎡ |
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スフ織物 |
4,427 千㎡ |
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合繊(短)織物 |
3,876 千㎡ |
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小売業 |
アパレル |
産地内集積機能(業種)
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織布業、晒加工業 |
産地内関連業界団体、公的試験研究機関、教育機関等
団体・機関名 |
住所 |
電話番号 |
知多和晒工業会 |
愛知県半田市花園町1-18-3 |
0569-21-7062 |
産地(組合)の課題と対策
現在の課題 |
左記の課題克服のための対策 |
賃織加工体質からの脱却 |
少品種・大量生産型産地であったため、資金及びリスクの少ない賃織が主力の取引形態であったが、少品種・大量生産は中国をはじめとした東南アジア諸国に取って代わられることとなり、多品種・少量生産に対応せざるを得なくなっている。また、取引先も廃業・倒産等により減少しており、国の進める自立化事業の影響もあってか、徐々に自主提案型企業へと変化している。今後は、技術アドバイザーと協力し、新素材やトレンドを探求し、組合員に川上と川下の両方の情報を提供し、一層この傾向が進むよう促していきたい。 |
経営者及び従業員の高齢化 |
「機屋は儲からない」からと、子供は後を継がず、親も継がせないことが長く続いている。利益の上がる企業になれば、後継者不足の問題は改善されると思われる。 また、従業員も高齢化が進んでいる。織布業に従事しようとする若手労働者は非常に少なく、また定着率も悪い。現在数社の企業が外国人研修生制度を利用している。近い将来この制度が改正され、受け入れ期間の長期化、もしくは単純労働者の解禁等が認められることを切に期待している。 |
情報提供 |
知多綿スフ織物構造改善工業組合 |
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住 所 |
〒475-0887 愛知県半田市御幸町1 |
|
TEL:0569-21-4611 |
FAX:0569-22-1510 |
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Eメールアドレス |
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