年 頭 所 感
日本綿スフ織物工業連合会
会 長 貝 原 良 治
新年あけましておめでとうございます。
昨年は、国内外の大災害に見舞われた不幸な年でした。国内ではリーマン
ショックを契機とした世界的景気低迷から回復の兆しが見え始めた矢先、3
月11日に発生した東北地方太平洋沖地震、大津波、原子力発電所事故、
放射能漏洩・汚染が加わった未曽有の東日本大震災により東北を始めとし
た東日本各地の大災害で多くの人命が失われ、地域の機能が喪失するな
ど、国内産業のサプライチェーンが寸断、その脆弱さを露呈、電力供給不足
による計画停電の実施、消費者の節約意識・買い控え、消費マインドの低
迷など、など、国全体の国民生活、経済活動が委縮した状態に陥りました
。その後の、放射能汚染に対する国内外からの風評被害、夏場の電力供
給不足による節電強化、海外ではEU圏での経済・金融危機の増幅、国際
的に円だけが独歩高となる極端な円高水準への移行、さらに秋口以降は
日本企業を含めた海外企業の生産拠点となっているタイでの大洪水による
工業団地の工場浸水、操業停止に伴う海外での更なるサプライチェーンの
寸断など、原料高も続くなど、経済へのマイナス指標だけが突出した最悪
の1年でした。
このような危機的状況の中で、震災の復興、日本の産業が浮上するには、
製造業として何をすべきか、何ができるかと言えば、一歩でも地道に今まで
とは違う新しいものづくりを積極、果敢に取り組む必要があります。非常に
厳しい、難しい局面が続いていますが、本年については引き続き産業再生
、生き残りのための構造改革の推進、輸出振興、内需振興に注力して取り
組んで参りたい。
第一に、継続した構造改革を推進することが必須条件です。
綿スフ織物業界においては、各産地の規模の縮小が続いており、織布業を
支える産地インフラも崩壊寸前にあり、各企業が主体性と自助努力を持って
企業連携、産地間連携、関連異業種との交流・連携に更に積極的に取り組
む構造改革が求められます。
日本織物産地、日本繊維産地との強い認識・絆の下、海外との競争に勝ち
抜くためには、従来以上の思い切った構造改革を一体となって進めることが
必須であり、そのあと押しができればと思っております。
また、取引問題につきましても、不合理な取引慣行の改善に積極的に取り
組みたいと考えております。
第二に、輸出振興への積極的かつ継続した取組みであります。
国内市場の今後の拡大が見込めないことを踏まえれば、輸出市場を開拓
することが肝要であり、ものづくり現場の海外での認知度をさらに上げ、ビジ
ネスに生かせる取組みが必要です。
世界的な景気低迷、現在の極端な円高の中で、ビジネスの実績を上げるこ
とは至難の技ではありますが、海外にない日本の匠の技、環境対応技術を
生かしたテキスタイルを、中国をはじめとする成長が著しいアジア市場、欧
米市場に積極的に、かつ、根気強くアピールしていく取組みを継続する必要
があります。
過去3年間欧州市場開拓を目指して取り組んできた綿工連プロジェクトに参
加してきた企業は、機会をとらえて海外展示会への出展、現地エージェント
の活用等により、客先とのフォローアップをこまめに行い、リピートオーダー
を確保している企業も輩出しており、これまでの不断の努力の成果が実っ
てきたものと考えており、非常に厳しい輸出環境の中ですが、意欲ある企
業が後に続くことを期待しています。
第三に、内需振興への取組みの強化であります。
企業間、産地間、異業種・異分野の人材との交流・連携を図り、これまでの
既成概念にとらわれない、新しい商品・用途開発への取組みが必要です。
同一産地内の企業同士、他の産地企業との連携による問題の解決、協働
した事業活動を進められる企業はまだわずかであり、情報の収集、共有化
と人脈作りが求められます。
情報共有の場として、情報のスピード、正確さを念頭に、E-mailを活用し
た綿工連、組合、傘下企業を結ぶ「機屋よろずNetWork」をさらに発展させ
、迅速な情報共有活動を展開します。
国内の綿織物産地は小さな産地が広く分散し、お互いにほかの産地の企
業、事情を正確に把握できていない状況にありますが、綿工連傘下の組合
、企業で構成する綿工連綿’s倶楽部(旧青年部)で進めている産地間交流
事業については、目的意識を明確にして積極的に展開し、産地間連携、異
業種連携を目指した取組みが必要です。
平成22年度から綿スフ織物業の構造改革・需要振興に資する取組みを行
う者に対する助成金支援事業を綿工連関連団体で開始しており、平成23
年度は15件の事業について採択、支援していますが、今年も引き続き実
施する計画です。
こうしたNetWorkの構築、人的交流のスピードアップ化を図り、産地間、関
連業種との交流、連携をスピード感を持って実現する必要があります。
内需振興は業界の本来の基盤となる活動であり、中長期的視野に立って、
かつ、スピード感をもった取組み、展開、推進が必要だと考えています。
綿スフ織物業界、日本経済、世界経済を取り巻く環境は非常に厳しく、また
、現在想定していない新たな問題が発生しても不思議ではない昨今ですが
、今後も業界の構造改革を進め、日本織物産地として国内生産基盤の維
持・確保を図っていく所存でございますので、本年も皆様方のご理解・ご協
力を頂戴したくよろしくお願い申し上げます。
最後に、景気低迷、経済危機が続いており、いつ本格的に良くなるのか、
見通しがたたない状況ですが、一丸となって鋭意、知恵を出し合い、早く解
決の糸口を見つけられればと切に願っております。震災で被災された地域
の早期の復興、日本の新たな再生・復活の年となりますことを祈念いたしま
して私の年頭の挨拶とさせていただきます。
平成24年元旦







